(写真:日米親善吟剣詩舞道交流会のパンフレット)
6月10日、ロサンゼルス空港に着いた一行は、サンフランシスコ行きの搭乗手続きに入った。アメリカでは国内線の搭乗手続きが面倒だと聞いていたが、予想以上に厳しい。まず財布、時計、上着をカゴに入れるのは当然としても、ズボンのベルトもカゴに入れ、靴を脱がされガラスの箱に入り、両手をバンザイしてX線検査。これではまるで犯人捜査扱い。しかし、テロ対策と言われれば従わざるをえない。
サンフランシスコでは、バスでツイン・ビークスに上った。標高300メートルの展望スポットから見下ろす ダウンタウンは、神戸や横浜とはスケールが違う。ゴールデン・ゲート・ブリッジでは、太平洋の寒流が流れ込むので霧の発生が多いことや、この橋が日本の本四架橋に影響を与えたことなど、日本人ガイドの説明で物知りに。夕食のフィッシャーマンズ・ワーフに着くまでバスから見る風景は、さすが“坂の街サンフランシコ”である 。同性愛実行者の街だと堂々とそれを表す旗がはためいているのには驚き。
6月11 日、この旅行のメーンともいえるヨセミテ国立公園。ガイドブックには「1984年にユネスコの世界遺産にも登録されたこの国立公園内には、巨大な一枚岩であるエル・キャピタン、その形状が印象的なハーフ・ドー ム、周囲の山々から流れ落ちる数々の瀧、それらの景観を横切るように流れるマーセド川など、かつての氷河活動がもたらした大自然の造形物が数多く点在する」とあるが、説明以上の価値がある公園だ。
6月12日、再びロサンゼルスへ。ハリウッドではアカデ ミー授賞式の会場ドルビー・シアターへ。ここから全世界に授賞式が放映されるのかと感動した。そして6月14日、このたびの旅の目的 、日本クラウン吟友会、日本詩吟協会主催の「日米親善吟剣詩舞道交流会」へ。
会場のロサンゼルス・日米文化会館に、日本側から宏升流吟詠総本部宗家海老澤宏升団長、紫虹流紫虹会宗家星野紫虹副団長以下80人が参加して開催された。
羅府國誠流詩吟会西川国順会長の開会挨拶で幕を開けた第1部は、南カリフォルニア詩吟連盟の代表7人の吟詠、第2部は日本訪米団代表8人の吟詠。日系2世、3世の吟のレベルの高さに、訪米団の感動は大きかった。米国での詩吟は、第2次大戦中に作られた日本人収容所で産声あげたと聞かされたときは、涙が出た人も多かったようだ。
第3部はいよいよ海老澤団長脚本、演出の「かぐや姫」。女子全員の歌に始まり高いレベルの吟と剣詩舞演じた。
ところが、ここでハプニング。合吟9番目の「帝の恋」までは順調だったのが、10番目の私の出番「襲撃」で伴奏のミス、修正に10分もかかったのだ。舞台にいた6人は「 こういう時にこそ武士道が試される」との思いで 、ライトの中直立不動、微動だにせず再を待った。もらった拍手の激しく大きかったこと、一生忘れられない思い出だ。
吟剣詩舞道日米交流が更に深まることを期待したい。
(岳精会日本吟院六郷岳精会 北村雄泉)